NEUMAN KEYBOARD

Neuman 開発の軌跡 2017 (その2)

NAMM2017を終えて

2017年1月のNAMMショー。前の記事にも書きましたが、YUDOにとっては夏のNAMMに続いて2度目の出展となりました。また、オリジナルのタッチパネルを装備したブラウンのNEUMAN1に加えて、動作はできなかったもののNEUMAN2も展示することができました。もちろん同時に第一次KAMI-OTOのプロトタイプも出展しておりました。

実は、当時のNEUMANシリーズはアプリケーションをゲーム用エンジンのUNITYで作っていました。その為レイテシー(鍵盤を押してから鳴るまでの時間)が一般のシンセサイザーより長くなってしまい、その対処にとても悩むことになるのでした。

ハードウエアでの開発

レイテシーを詰めるには、できればDSPを含んだハードウエアでやりたいと考え、Analog Devices 社のSHARCプロセッサを検討することにしました。このDSPは楽器業界では最も有名でパワフルなものと言えると思います。YUDOでは評価用ボードを入手し、このDSPの使い方を調べはじめました。それと共に、2018年のNAMMショーを睨んで、安価なRaspberry Pi を音源とする案も同時開発を進めました。このプログラムには社員(当時)プログラマーのアーロンがあたり、役1ヶ月ほどでサウンドフォントが鳴り、パラメータ制御ができるプログラムができました。それもハイサンプリングレートで動作するものです。
このソフトウエアは強力なプログラマー(アーロン)が開発した故、高性能ですが、普通のプログラマーからすると少々難解でした。 また、基本のサンプラーとしての能力は持っておりましたが、どのようなパラメーターをコントロールするのかに少々の問題がありました。

JUCEとの出会い。

アーロンの作ったコアはあるものの、UIやコントロールすべき部分の策定もしなければいけない中、輸入代理店のMI7さまの紹介でJUCEに出会いました。
ROLI Ltd. のJUCEは、C++言語で開発できるオーディオやMIDIを扱うアプリケーションに特化したフレームワークです。ライブラリも充実しているため、簡単に楽器アプリケーションを実装することができます。Yudoでは、プログラマーの人数も限られることから、このJUCEをプラットフォームにすることに決めました。
アドバイスをいただいたのはJUCE Japanの塩澤さん。まずは、Raspberry Piでサンプルの同時発音数を調べることにしました。
JUCE

Raspberry Piの挫折

Raspberry Pi3での同時発音数は60音程度。4音のレイヤーを最大4種類重ねる可能性もあるNEUMANにはスペックがりません。さらに高性能版であるASUSのTinker Board も試しましたが、同時発音数は大幅に増えることはありませんでした。

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